ストラデッラ オラトリオ「洗礼者ヨハネ」 ( クラシック )
キャサリン・ボット(ソプラノ)
クリスティン・バッティ(メゾソプラノ) ほか
ルーブル宮音楽隊
マルク・ミンコフスキー(指揮)
1991年録音
アレッサンドロ・ストラデッラ(1644-82)の名前は、音楽家のうちでも屈指の猟奇的生涯を送った人物として、歴史にとどめられている。ローマの貴族の家系に生まれ、若くして音楽家としての頭角をあらわしながら、彼は教会の公金横領事件に連座してローマを追われ、その後もあちこちでトラブルを起こした。ヴェネツィアでは雇い主の愛人と駆け落ちしてトリノに逃げ、報復を受けて重傷。最後に住んだジェノヴァでも貴族の令嬢と道ならぬ関係となり、刺客を送られて、市の広場で殺害された。彼の(38年の)数奇な生涯を描いたオペラや小説、演劇は、歴史上たくさんあるのだという。
おそらくストラデッラは、情熱的で直情的な性格であったのだろう。その「熱さ」は、音楽にもたしかにうかがえる。彼の作品は、オペラ、オラトリオ、カンタータ、器楽曲と多岐にわたっているが、まず、オラトリオ「洗礼者聖ヨハネSan Giovanni Battista」を聴くべきだろう。この作品は、新約聖書の伝える洗礼者ヨハネの斬首を扱う。すなわち、これはシュトラウスの歌劇「サロメ」をはるかに先取りする内容のオラトリオなのである。
礒山雅「バロック音楽名曲鑑賞事典」より
人物像もドラマチックで魅力十分だが、作品はさらにドラマチックで魅力的。
オラトリオは、宗教的題材を扱う、所作を伴わない演奏会形式の”オペラ”なのだ。
カリッシミ/オラトリオ「イェフタ」↓
https://blogs.yahoo.co.jp/muta952003/archive/2017/01/29
シュッツ/クリスマス・オラトリオSWV435↓
https://blogs.yahoo.co.jp/muta952003/archive/2015/10/07
カルダーラ/オラトリオ「キリストの足元のマッダレーナ」↓